腰椎椎間板ヘルニア・2


「腰椎椎間板ヘルニアの症状(坐骨神経痛)」


ヘルニアが起こり神経が圧迫されると、腰痛と下肢痛(鋭い電撃痛)やしびれを訴えます。

 下肢痛に下記の症状が伴えば、坐骨神経痛です。

伴わない場合は、関連痛の可能性があります。

また、膝を伸ばした状態で足を挙上出来なくなります(ラセーグ徴候またはSLR陽性)。

症状は、急激に生じる事も、徐々に生じる事もあります。

神経根の圧迫

図6の所(後外側)にヘルニアを起こすのが一般的です。

 

腰椎4番と5番間のヘルニアでは、L5神経根が圧迫されます。

 

L5神経根が圧迫されると、

爪先を挙られなくなり、踵(かかと)で歩く事が困難になります。

又、すねの外側から足の甲にかけて感覚が鈍くなります(各絞扼性神経障害による痛み・シビレの範囲、図3参照)。

 

腰椎5番と仙骨間のヘルニアでは、S1神経根が圧迫されます。

S1神経根が圧迫されると、

爪先立ちでの歩行が困難になります。

又、足の小指側から足の裏にかけて、感覚が鈍くなります。

アキレス腱反射も低下します。

 

稀に、比較的外側の図7の所でヘルニアを起こす事があります。

神経根の圧迫・外側型

腰椎4番と5番間のヘルニアでは、L4神経根が圧迫されます。

L4神経根が圧迫されると、足の親指側を浮かし、小指側での歩行が困難になり、膝を伸ばす力も弱くなります。

又、すねの内側の感覚が鈍くなります。

 膝蓋腱反射も低下します。

 

腰椎5番と仙骨間のヘルニアでは、L5神経根が圧迫されます。

 

図7の様に、大きなヘルニアが真ん中に飛び出す事もあります。

この場合は馬尾神経(ばびしんけい)が圧迫されます。

 

*馬尾神経(ばびしんけい)

脊髄は腰椎1番~2番の高さで終わり、そこから神経が馬のしっぽの様に背骨の中を下りてきます。

この神経の束を馬尾神経と呼びます(図7参照)。

 

症状が両下肢に現れ、排尿・排便障害、性機能障害が起こります。

また、自転車に乗った時、お尻がサドルに当たる部分に、しびれや感覚の麻痺が起こります(サドル麻痺)。

 

このような症状があれば、馬尾神経の圧迫症状です(馬尾症候群)。

*馬尾症候群と坐骨神経痛は別の疾患です。

 

筋肉の麻痺、感覚の麻痺、排尿・排便障害、性機能障害があれば、すぐに整形外科を受診して下さい。

 

 

「鑑別診断」


腰部脊柱管狭窄症仙腸関節障害、椎間関節障害、筋肉からの関連痛梨状筋症候群足根管症候群などと区別する必要があります。

 

又、血管の病変、腫瘍、中毒なども考慮する必要があります。

 

「腰椎椎間板ヘルニアと姿勢」


内側・外側ヘルニア

図8上のようにヘルニアが神経の内側に出た場合は、神経への圧迫を避ける為に、下肢痛のある側に体を倒します(疼痛回避姿勢)。

比較的少ないタイプです。

このタイプは矯正が難しく、脱出型・2に移行しやすいと考えられます。

 

図8下のようにヘルニアが神経の外側に出た場合は、下肢痛の無い側に体を倒します。

このタイプの脱出型は矯正が可能です。

 

下肢痛の無い突出型のヘルニアの場合は、突出した側の反対方向に体を倒し、腰を曲げた姿勢になります。

前に屈んだり、腰を伸ばすと痛みを引き起こします。

 

脱出型ヘルニアでは、腰の曲げ伸ばしが可能な事が多いようです。

また、腰に痛みが無く、下肢の症状が主に現れる場合もあると言われています。

 

腰椎椎間板ヘルニア・1

腰椎椎間板ヘルニア・3