前脛骨筋TPは、足首の前内側と母指の背側に強い痛みを放散する。
また放散痛は、TPから下腿前下方と足背の内側部へも広がる(図1参照)。
起始:脛骨外側顆下部から脛骨外側面の上2/3、下腿骨間膜の上方、下腿筋膜の最上部
停止:内側楔状骨の内側面と足底面、第1中足骨底の内側面
神経支配:深腓骨神経(L4~S1)
長腓骨筋と短腓骨筋のTPからの痛みは、足の外果部から周辺に広がり、足の外側に放散する。
また、長腓骨筋TPからの関連痛は下腿外側の中間部1/3にも現れる(図2上部参照)。
第三腓骨筋TPからの痛みは、足首から足の前外側面に広がり、外果後方から踵の外側面にも放散する(図2下部参照)。
*長腓骨筋TPにより、総腓骨神経の絞扼性神経障害を起こす事がある。
「長腓骨筋」
起始:腓骨頭、腓骨外側面の上部2/3、筋間中隔
停止:内側楔状骨の足底面、第1中足骨底
神経支配:浅腓骨神経(L5,S1)
「短腓骨筋」
起始:腓骨外側面の下部1/2 停止:第5中足骨粗面
神経支配:浅腓骨神経(L5,S1)
「第三腓骨筋」
起始:腓骨下部の前縁 停止:第5中足骨底の背面
神経支配:深腓骨神経(L5,S1)
最もよく見られる腓腹筋TP1からの痛みは、大腿後方の下部から膝後部、下腿から足首の後内側面に放散し、足底面に強い痛みが現れる(図3上部参照)。
次によく見られるのは腓腹筋TP2で、TP2,TP3、TP4は全てTP部とその周辺に痛みを放散する(図3下部参照)。
起始:「外側頭」大腿骨外側上顆 「内側頭」大腿骨内側上顆
停止:アキレス腱を介し踵骨隆起
神経支配:脛骨神経(S1~S2)
最もよく見られるヒラメ筋TP1は、アキレス腱部の内側から踵に痛みを放散する(図4下部参照)。
稀に存在するヒラメ筋TP2は、下腿の後方の上半分へ痛みを放散する(図4下部参照)。
極めて稀なTP3は、同側の仙腸関節に深部痛を生じる(図4下部参照)。
またTP3は、TP部からアキレス腱部、踵、足底部へも痛みが放散する。
極稀にTP3から同側の顎関節に関連痛を起こす事がある。
*腓腹筋TPは腓腹筋痙攣を起こすが、ヒラメ筋TPは起こさない。
足底筋TPからの痛みは、膝後部から下腿後方の中間部に放散する(図4上部参照)。
「ヒラメ筋」
起始:腓骨頭後面、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、脛骨後面のヒラメ筋線
停止:アキレス腱を介し踵骨隆起
神経支配:脛骨神経(S1,S2)
「足底筋」
起始:腓腹筋外側頭上部の大腿骨外側上顆
停止:アキレス腱を介し踵骨隆起
神経支配:脛骨神経(S1,S2)
後脛骨筋TPからの痛みは、アキレス腱部に強く現れ、下腿後方の中部から踵、足底、足指底面に放散する(図5参照)。
特に歩行時やランニング時にアキレス腱部に痛みを訴える。
起始:下腿骨間膜、脛骨と腓骨の相対する後面
停止:舟状骨粗面、内側・中間・外側楔状骨、立方骨、第2~4中足骨底
神経支配:脛骨神経(L4,L5)
長指屈筋TPは、第2~5指の近位の足底中央に痛みが強く現れ、第2~5指の底面にも痛みが放散する。
時折、TP部から下方の下腿後部の内側から足首の内側に痛みが放散する(図6参照)。
長母指屈筋TPは、母指と第1中足骨頭部の底面に強い痛みが現れる(図6参照)。
時折、足底にまで痛みが放散する事も有る。
「長指屈筋」
起始:脛骨後面の中央1/3 停止:第2~5の末節骨底
神経支配:脛骨神経(L5~S2)
「長母指屈筋」
起始:腓骨後面の下部2/3、下腿骨間膜の腓骨側 停止:母指の末節骨底
神経支配:脛骨神経(L5~S2)
長指伸筋TPは、第2~4指の近位の足背面に強く痛みが現れ、第2~4指と下腿下部の1/2にも痛みが放散する(図7参照)。
長母指伸筋TPからの痛みは、第1中足骨部の背面に強く現れ、母指とTP部下方の下腿前面に放散する(図7参照)。
*長指伸筋と長母指伸筋のTPは、深腓骨神経の絞扼性神経障害を起こす事がある。
「長指伸筋」
起始:脛骨外側顆、腓骨頭、腓骨前面の上部3/4、下腿骨間膜
停止:第2~5指の指背腱膜と末節骨底
神経支配:深腓骨神経(L4,L5,S1)
「長母指伸筋」
起始:腓骨内側面の中央1/3、下腿骨間膜
停止:母指の指背腱膜と末節骨底
神経支配:深腓骨神経(L4,L5、S1)
短指伸筋と短母指伸筋のTPからの痛みは足背中央部に現れる(図8参照)。
「短指伸筋」
起始:踵骨の背面 停止:第2~4指の指背腱膜と中節骨底
神経支配:深腓骨神経(L5,S1)
「短母指伸筋」
起始:踵骨の背面 停止:母指の指背腱膜と基節骨底
神経支配:深腓骨神経(L5,S1)
短指屈筋TPからの関連痛は、第2~4中足頭部に痛みと圧痛が現れ、時折、第5中側骨頭部にまで広がる(図9参照)。
起始:踵骨隆起の内側結節、足底腱膜 停止:第2~5指の中節骨底の両側面
神経支配:内側足底神経(S1、S2)
小指外転筋TPからの痛みは、第5中足骨頭部に強く現れ、足底外側に放散する(図10参照)。
*短小指屈筋は深層部の足の内在筋であるが、TPの疼痛パターンは小指外転筋と共通すると思われる。
「小指外転筋」
起始:踵骨隆起の外側突起、足底腱膜、第5中足骨粗面 停止:小指基節骨底
神経支配:外側足底神経(S1~S3)
「短小指屈筋」
起始:第5中足骨底、長足底靭帯 停止:小指の基節骨底
神経支配:外側足底神経(S1、S2)
母指外転筋TPからの痛みは踵の内側に集中し、足の内側縁に放散する(図10参照)。
*内側足底神経と外側足底神経は足根管を出た後、母指外転筋TPにより圧迫され障害される事もある(足根管症候群参照)。
起始:踵骨隆起の内側突起、足底腱膜 停止:母指基節骨底
神経支配:内側足底神経(S1、S2)
足底方形筋TPからの痛みは、踵の底側面に痛みと圧痛を引き起こす(図11参照)。
起始:踵骨の底面の内側突起と外側突起
停止:長指屈筋腱の外側縁
神経支配:外側足底神経(S1、S2)
虫様筋TPの疼痛パターンは骨間筋TPの疼痛パターンと類似すると思われる(図14参照)。
母指内転筋TPは、斜頭と横頭いずれも足底の第1~4中足骨頭部に痛みと圧痛を引き起こす(図12参照)。
横頭TPは中足頭を覆う皮膚にしびれや腫脹した感覚の原因になると考えられる。
起始:(横頭)第3~5中足指節関節の関節包、(斜頭)第2~4中足骨底、立方骨、外側楔状骨
停止:両頭が合流して外側の種子骨を介し母指基節骨底の外側
神経支配:外側足底神経(S1、S2)
短小指屈筋TP(図10参照)
短母指屈筋TPは、第1中手骨底面に痛みと圧痛を引き起こし、痛みは母指全体と第2指の大部分に放散する。
起始:立方骨、内側・中間楔状骨、長足底靭帯
停止:両側の種子骨を介し母指基節骨底の両側
神経支配:内側足底神経(L5,S1)
骨間筋TPからの痛みは、筋が付着する中足骨部から足指に向かって、足底と足背の両方に放散する。
図14は第1背側骨間筋の疼痛パターンを示す。
「第1~4背側骨間筋」
起始:第1~5中足骨の相対面
停止:第1背側骨間筋は第2指の基節骨底内側と指背腱膜、第2~4背側骨間筋は第2~4指の基節骨底外側と指背腱膜
神経支配:外側足底神経(S1、S2)
「第1~3底側骨間筋」
起始:第3~5中足骨の内側縁 停止:第3~5の基節骨底の内側と指背腱膜
神経支配:外側足底神経(S1、S2)
「小殿筋TP」
体幹下部と下肢の痛み(図5参照)
「内転筋群(長・短内転筋)TP」
大腿・膝・下腿の痛み(図10参照)
大腿四頭筋
「内側広筋TP」
大腿・膝・下腿の痛み(図4参照)
「大腿直筋TP」
大腿・膝・下腿の痛み(図3参照)
「外側広筋TP」
大腿・膝・下腿の痛み(図6・7・8参照)
「ハムストリング・膝窩筋TP」
大腿・膝・下腿の痛み(図13参照)
「縫工筋下部TP」
大腿・膝・下腿の痛み(図2参照)
〔トリガーポイントの記事に関する参考文献〕
TRAVELL&SIMONS著 川原群大監訳「トリガーポイント・マニュアル 筋筋膜痛と機能障害」エンタプライズ 1992年
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