ツボの起源は石器時代にまでさかのぼります。
当時の人々は、手や石で体の表面を押したり刺激したりすると、色々な苦痛が和らぐ現象を経験していました。
人々は、経験が蓄積されてくると、ツボに対する認識が段々と得られるようになりました。
その時期のツボは、具合の悪い所(痛むところ=圧痛点)を刺激するだけで、ツボの定まった位置も無く、名称もありませんでした(阿是穴:あぜけつ)。
その後、かなり多くの経験の蓄積により、ツボの位置が確定し、ツボの効用も認識され、名称も付けられるようになりました(奇穴)。
その後、長期にわたる治療実践の中で、ツボを孤立した単一のものとは見ず、相互に連携し、全体を統合するものと考えるようになり、経絡の概念が出来上りました。
経絡は東洋医学独特の考え方で、経絡は気血の通り道です。
経絡は、体の隅々まで全身をめぐり、深部では臓腑(六臓六腑)とつながり、すべての機能を調節しています。
経絡上にあるツボが、経穴(正穴)です。
経絡の異常は、病気の原因となり、経絡上のツボは、病気の反応点であり、治療点でもあります。
経穴とは別に、奇穴と阿是穴という経絡上に存在しないツボもあります。
奇穴の位置は決まっていて、名称もあり、特効穴として様々な症状の治療に使われます(数は経穴より奇穴の方が遥かに多い)。
阿是穴(あぜけつ)は、「押すと痛くて気持ちの良い反応点」で、位置も名称も決められていません。
1977年にメルザックにより、鍼灸のツボとトリガーポイントは全体として71%一致すると報告されており、多くの共通点があると言われています。
トリガーポイントもツボも、押して痛む所(圧痛点)という点では一致しています。
筋膜トリガーポイントの反応は、筋肉中の硬結(しこり)として現れます。
ツボの反応は、皮膚及び皮下組織に現れます。
筋膜トリガーポイント(過敏な硬結)が存在する場所の皮膚は、皮膚通電抵抗が減少し(交感神経による汗腺、血管、立毛筋の反射)、皮膚及び皮下組織にも反応が現れています。
ツボの反応が皮膚及び皮下組織に現れている場所の皮膚も、皮膚通電抵抗が減少しています。
ツボが存在する場所が筋肉上であれば、その下の筋肉に過敏な硬結(しこり)を触れる事ができます。
故に、筋肉中のツボ(阿是穴・経穴・奇穴)と筋膜トリガーポイントは一致すると思われます。
ツボ(経穴・奇穴・阿是穴)は、筋肉中に限らず、筋肉と筋肉の間、筋膜が腱に移行する部、腱膜が骨膜に移行する部、神経・血管が筋膜を貫通する部、動脈拍動部など様々な場所で触知されます。
筋肉中の筋膜トリガーポイント以外の、皮膚・腱・靭帯・関節包・骨膜・脂肪組織などの結合組織(膜組織)に現れるトリガーポイントを考慮すればトリガーポイントとツボは一致すると思われます。
トリガーポイントもツボも、反応(活性化)が強くなると、鍼などの刺激により、痛みを放散する点でも一致しています。
トリガーポイントもツボも、膜組織(体全体に張り巡らされたネットワーク)に現れる過敏な反応点だと思われ、局所の反応点が、体全体に影響をもたらすと思われる点でも一致しています。
トリガーポイントには、経絡という概念がありません。
経絡上の経穴は、全身の経絡を調整して気血を正常に巡らせる為の反応点であり、刺激点でもあります。
経絡を正常に巡らせる事が鍼灸治療の根本的治療と考えられています。
奇穴や阿是穴は主に対症療法(症状に対する治療)に使われます。
やまだカイロプラクティック院・鍼灸院
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